(序文より) 日本は急速な少子高齢化を迎え、生産年齢人口は減少を続ける一方、グローバル化が進展している。国内は景気回復傾向と言われるものの国際競争力の低下が危惧され、科学技術イノベーションが急務になっている。 政府は「戦後以来の大改革」を掲げ、21世紀に相応しい教育体制構築と教育再生を目指し教育改革を推進する一方、学校教育法改正で人材育成・イノベーションの拠点である大学が戦略的運営を通し機能を最大限に発揮すべくガバナンス体制の強化を図った。また地方創生の一環として大都市圏大学の入学者抑制方針が示され、各種補助金は総額圧縮と大学改革の進捗に応じた配分方法が既に導入されている。大学は社会的責任を担うべく一層の改革推進と、その先見の明による社会貢献が責務と言われている。 一方、景気動向から受験生の文系志向が回復し、理工系人気は一息ついたと言われている。採用スケジュールが不安定な就職については、企業の採用活動は好調であるものの厳選採用に変わりはなく、さらにきめ細かい学生支援が新たな課題となっている。 近年120万人前後で推移してきた18歳人口は、2年後の2018(平成30)年から継続したさらなる減少が見込まれる。すでに私立大学の4割で定員割れが発生し、私学をめぐる経営環境は一層厳しく、大学生き残りの時代は本番直前といえる。しかし、だからこそ本学の理念と精神を尊ぶ特色化を実現し、大学ブランドを強化する絶好の機会といえる。 本学園は、創立以来「技術で社会に貢献する人材の育成」を使命に建学の精神、教育・研究の理念のもと教育熱心で親身な学校を目指してきた。そして2014(平成26)年度から10年間を目途とする「学校法人東京電機大学中長期計画~TDU Vision2023~」を策定した。 2016(平成28)年度はその3 年目、「未来に責任をもち、新たな発展を目指す年」としての事業推進を図る。特に、次の100 年に向けた第一歩として、2017(平成29)年4 月のシステムデザイン工学部設置を含む全学的改編に関連する諸施策、東京千住キャンパス第2期計画(5号館:Ⅰ街区建物)完遂を目指す工事推進および理工学部開設40 周年事業の策定、財政健全化に注力する。なかでも財政健全化策としては、引き続き経費削減に努める一方、NEDO等大型プロジェクトをはじめ外部研究資金の獲得や社会人教育等による一層の収入増を目指す。また休退学者の縮減については数値目標を設定し早期改善を図る。さらに新たな処遇制度導入に伴う付帯事項、継続する諸課題解決の推進を図る。