電波伝搬の特性を明らかにすることで 理想の無線通信システムを構築したい

大学院では、ワイヤレスシステム研究室に所属し「閉空間/半閉空間における広帯域電波伝搬特性の実測およびモデリング」というテーマで研究を行いました。オフィス空間のような壁に囲まれた空間で多くの電波が飛び交うと、多重波が生じ感度が弱くなる場合があります。研究では、マイクロ波帯伝搬特性の変動を実測・評価することでモデル化に取り組みました。こうした電波伝搬特性を明らかにし、より良い無線通信システムが構築されれば、自動車、航空機、宇宙機やICT機器などにも応用できます。そして、機体内信号ケーブル削減による重量・体積の軽減、工数削減など多くのメリットが生まれます。指導教授は教育者であると同時に研究者としての意識も非常に高いので、修士課程の頃から研究に対する姿勢について厳しく指導されました。また博士課程に進んだ際には「博士号は研究業績や成果に対して与えられるのではなく、人に与えられるもの」とも言われました。そうしたこともあり、博士課程では後輩の指導に力を入れたり、研究者という意識をもって研究に取り組むようになったと思います。

閉空間内における人口密度の影響を考慮した電波伝搬実験閉空間内における人口密度の影響を考慮した電波伝搬実験

論文 修士課程での論文経験が、 博士課程でのプラスに

修士課程の頃は自分の研究活動以外にも多くの学会に足を運んでいたので、空いた時間は常に論文作成に取り組んでいました。また指導教員の指導で、論文を一日一本読んでいた経験が自分の力となり、博士課程での論文作成は随分とスムーズになりました。

学会 国内外の研究者との交流が、自分の世界を広げることに

学会への参加は、国内外を問わず積極的に行いました。特に海外での発表や、相手の研究の話を英語でした経験が、研究者としての世界観を大きく広げてくれたと思います。海外での研究発表で英語は必須ですが、基礎的な文法と専門用語を理解していれば、対応できると思います。

後輩指導 後輩への指導は、研究を振り返るいい機会

後輩に指導する立場になると、自分自身の中で曖昧にしていた学問分野について明確にし、さらに深く掘り下げてみる必要があると感じました。また一つのことを教えるには、複数の知識を持つ必要があり、参考書などを読み返すことも。それが基礎的な知識を振り返る、いい機会になっています。

内定先 東京電機大学

助教として、情報セキュリティ分野の人材育成に貢献

博士課程を修了後は大学に残り、助教として学生の指導を担当すると同時に、研究も続けていきたいと思っています。未来科学部情報メディア学科の情報セキュリティ研究室で、インターネット工学の中でも主にセキュリティに関する分野を指導・研究する予定です。無線システムというこれまでの研究テーマとは分野が異なりますが、違う視点で貢献できると思っています。セキュリティは情報技術が進化していく上で必要不可欠な分野なので、そこで活躍できる人材を育成していきたいですね。

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